〔研究タスク〕2.背景理解と政策分析

研究のタスク・サブタスクにおける背景理解と政策の分析について説明します。

 

2.    背景理解と政策の分析:
•    政策の特性の理解とドキュメンテーション
•    因果効果を識別するための戦略の理解と計画
•    政策の文脈や影響を理解するための資料収集
•    政策の処置群や対照群の理解

 

2.    背景理解と政策の分析:

政策の特性の理解とドキュメンテーション:

 政策ドキュメントの詳細な読解: 政策の主要な目標、その目的、およびそれを実施する機関についての詳細を把握します。
 インタビューや専門家の意見の調査: 追加情報や明確な解釈を得るために、関連専門家と話すか、既存のインタビューや発言を探します。アネクドートを集めるような感じです。理論的予想が著しくアネクドートと矛盾しないか、矛盾するとすればなぜかを確認する作業になります。したがって、この作業の内容は論文に書かない可能性が高いです。
 ポテンシャルな影響リストの作成: 政策が影響を与える可能性がある人々や産業のリストを作成します。
 直接的、間接的影響の分類: 影響を受ける各グループが、政策によって直接影響を受けるのか、間接的に影響を受けるのかを特定します。
 政策の実施内容の詳細なリスト作成: 政策の具体的な実施内容についての詳細なリストを作成します(例:金額、期間、対象地域等)。
 疑問点や不明確な部分の明確化: 政策実施の詳細が不明確な場合や、疑問点がある場合は、それを明らかにします。

 

因果効果を識別するための戦略の理解と計画:

 データと問題の理解に基づく変数の選択: あなたが持っているデータと問題の理解に基づいて、何を被説明変数とし、何を説明変数とするかを決定します。当初想定していないアウトカムがあるはずです。また、影響を受けるはずのないアウトカムについても分析をすることで、議論や理解を深めることができます。
 選択した統計的手法の前提条件の確認: 自然実験アプローチは、因果関係を識別するためのデザインがあり、それには常に仮定がおかれています。例えば、差分の差分法はコモントレンドの仮定がおかれています。
 制約や前提条件が満たされない場合の対応策の計画: すべての前提条件や制約が満たされない場合、その対応策を計画します。

 

政策の文脈や影響を理解するための資料収集:

 二次資料のレビュー: このサブタスクは、政策の背景や影響に関する二次資料(例えば、報告書、ニュース記事など)のレビューを含みます。先行研究調査で取り上げないような学術論文はここで集めます。
 データの収集: 統計分析には直接用いることは無い可能性のあるデータを収集します。サイドエビデンスとして使うかもしれないからです。当然のことながら、使わないかもしれないので、この作業にあまり時間をかけたりはしません。「必要な時に集められる」くらいが理想的かもしれません。

 

政策の処置群と対照群の理解:

 処置群と対照群の特定: 政策が直接影響を与えるグループ(処置群)と、政策の影響を受けない比較対象のグループ(対照群)を特定します。様々なパターンがあり得る場合があります。注意深く考える必要があります。
 比較可能性の評価: 処置群と対照群が比較可能であることを評価します。論理的にも統計的にも評価します。